

親守詩・親学
おや もり うた おや がく
TOSSは、日本の「家庭教育」をより良いものにしていくために、「日本の伝統的な子育て」を見直したり、親子の絆を再確認する「親守詩(おやもりうた)」の普及に取り組んでいます。
特に、子が親に向かって五・七・五を詠み、親が返事として七・七を詠む、親子合作の「親守詩」は、全国各地で取り組まれ、感動を呼んでいます。
1.西洋人に絶賛された日本の伝統的子育て
日本のかつての子育ての様子を、明治維新の前後に日本を訪れた100人近くの西洋人が書き残しています。数例を紹介します。
― 日本では親が子どもを打つ、叩く、殴るといったことはほとんどなく、
子どもから不平の言葉を滅多に聞かない。
(カール・ツュンペリ 1743-1828 オランダ長崎商館の館員)
― 日本の子どもほど行儀がよく親切な子どもはおらず、日本の母親ほど
愛情深く子どもにつくす母親はいない。
(エドワード・モース 1838-1925 アメリカの動物学者、大森貝塚発見者)
― 日本は、赤ん坊の泣き声や、言うことを聞かない子どもを見ない。
英国は母親がおどかしたりすかしたりして子どもをいやいや服従させる。
― 日本人は自分の子どもに喜びをおぼえ、誇りをもっている。
(イザべラ・バード 1831-1904 英国の探検家、紀行作家)
参考『逝きし世の面影』渡辺京二・平凡社
一言でいえば「ムチで育てられたヨーロッパの子ども」に比べて、日本の子どもは幸せだということです。19世紀、あるヨーロッパの校長は、1年間で2万回、ムチで子どもをたたいていたそうです。
2.戦後、失われた家庭教育
これほど西洋人に高く評価されていた日本の子育ての面影は、戦後失われました。
TOSS代表の向山洋一は、それを表す現状として、子どもを怒鳴り散らす親・教師の存在を指摘しています。
また、社会問題になっている学級崩壊についても、その実態が変わってきたと向山は指摘します。以前は、教師の技量の低さが学級崩壊の主要な原因とされてきました。しかし、最近は、力があると評判だった教師の学級も荒れるという状況が多くみられるようになりました。向山はこれを、「新型学級崩壊」と名付けました。その原因は複数あると考えられていますが、シングルマザー・ファザーの増加や、家庭でのしつけ・スキンシップの不十分さも原因のうちの一つだといわれています。
日本の伝統的な子育てを再度見直し、その子育て方法を学ぶシステムが、今、求められています。それがTOSSの取り組む「親学(おやがく)」です。
3.教育基本法に「家庭教育」が明記
戦後出来た教育基本法には、「家庭教育」の独立した項目がありませんでした。したがって、数十年にわたり、「家庭教育」の方針のない教育政策がされました。さらに、親の「権利」はあっても、法律のどこにも親の「義務」については触れられていない法が施行されていたのです。
この教育基本法を改正したのは、第一次安倍内閣でした。改正された教育基本法の中では、「家庭教育」が独立した項目として明記されました。
(家庭教育)
第十条 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有するものであって、生活のために
必要な習慣を身に付けさせるとともに、自立心を育成し、心身の調和のとれた発達を図るよう
努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家庭教育の自主性を尊重しつつ、保護者に対する学習の機会及び情報の
提供その他の家庭教育を支援するために必要な施策を講ずるよう努めなければならない。
これでようやく、学校教育・社会教育・家庭教育の三本柱が揃ったのです。
4.親子の絆をつなぐ「親守詩(おやもりうた)」
TOSSは、戦後失われた家庭教育を取り戻すため、さまざまな活動を行ってきました。
そのうちの一つが、親子で作る「親守詩(おやもりうた)」です。
子どもが親に向けての想いを、5・7・5のリズムに合わせて詠みます。そして親が子に対する返事を、7・7のリズムに合わせて詠みます。親子の合作でできるのがTOSSが取り組む親守詩です。2例紹介します。
①(子)お母さん ケンカしてても 話したい (親)同じ気持ちで 思っているよ
②(子)お父さん 長生きしてね おねがいね (親)そろそろ禁煙 してみようかな
2012年10月6日、山口県下関市にて、山口県親学推進セミナーが開催されました。当時、自民党総裁であり山口県親学推進委員会名誉会長であった安倍晋三氏も参加しました。
上記の①の親守詩は、そのセミナーで「安倍晋三賞」に選ばれたもの、②の親守詩は「向山洋一賞」に選ばれたものです。
TOSSは現在、全国各地でさまざまな団体と連携しながら、「親守詩大会」を行っています。2015年2月14日、東京にて「第二回 親守詩全国大会」が開催されました。「親子の絆」「親への感謝」という二つのテーマに対して、作文・詩、定型詩、連歌の3部門に全国から6万4838点の応募がありました。


親守詩全国大会
主催:親守詩全国大会実行委員会
共催:毎日新聞社
後援:内閣府、文部科学省、総務省、観光庁、倫理研究所、全国国立幼稚園長会、全国連合小学校長会、全国高等学校長協会、
全国教育問題協議会、日本教育協会、日本郵便、教育新聞社、モラロジー研究所、ESP、日本教育新聞社
協賛:損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険株式会社、株式会社 カーテン・じゅうたん王国、ミサワホーム株式会社、
ヤマキ株式会社
協力:日本教育文化研究所、TOSS、特定非営利活動法人まほろば教育事業団、公益社団法人日本青年会議所、
一般財団法人親学推進協会、公益社団法人マナーキッズプロジェクト、一般社団法人日本文化教育推進機構、
dot. (朝日新聞出版)
第1回 2013年10月20日(日) 東京ビッグサイト
全国の幼児から小学生、中学生、高校生、一般より、作文・詩部門/定型詩部門/連歌部門の3部門において、
31,333点の作品応募
第2回 2015年2月14日(土)朝日浜離宮ホール
応募総数 64,838点
参考・引用HP
●親守詩全国大会HP