TOSSで学ぶ人たち

INTERVIEW

#01

子どもたちに「学び方」を伝えていく。
それが、彼らの生きる道につながると考えています。

竹澤 健人

竹澤 健人

/ TAKEZAWA KENTO

大阪府

小学校教員

大阪府東大阪市出身。2023年度で教員4年目。
勤務校では、「イングリッシュコース」の小学校2年生担任。算数・生活(理科)・音楽・図工などの教科を英語で行う「英語イマージョン教育」に取り組む。法則化クローバー、関西国語授業研究会所属。

Q1

竹澤先生は今年で教員4年目、毎日が課題や発見の連続だと思います。
そんな竹澤先生が教師として成長するために、日々どのように学ばれているのか教えてください。

TOSSのサークルで授業実践の報告をしたり、勤務校の先生と授業を見学し合ったりして勉強しています。
私が勤務する学校に、TOSSで学んでいる鶴田裕一先生がいらっしゃいます。鶴田先生の授業を見学すると、どのような子どもを育てたいのかが、とてもよく伝わってきます。僕が初めて見学をして印象に残ったのは、先生が子どもの良いところを見逃さずに、「今、お隣さんを助けてあげた人?」(挙手させる)「先生はそういう人がいて、本当に嬉しいな」というメッセージを伝えていた場面です。「子どもたちは、鶴田先生のあたたかい言葉を浴びて、成長しているんだな」と思いました。
そこで僕は、鶴田先生にいろいろ教わりたいと思い、サークルの例会に参加したり、授業を見学し合ったりするようになりました。

左:鶴田裕一先生
左:鶴田裕一先生

Q2

先輩の先生方に学ぶようになってから、子どもたちに変化はありましたか?

我流(自己流)で授業をしていたときは、子どもたちから「先生、次はどうしたらいいんですか?」「全然わかりません。」と言われていました。しかし、TOSSで学んだ「細分化の原則」(指導内容を細分化せよ)や、「趣意説明の原則」(指示の意味を説明せよ)などを守ると、授業で迷う子や困る子が減ってきたように感じています。
また、子どもたちが自分たちで課題解決ができるように、TOSSの教育技術を用いて「学び方」を教えています。子どもたちには「◯◯するとうまくいく」という経験をしっかり積み重ねて、自分たちで主体的に解決できる人になってもらいたいです。
これからもTOSSで学んだ教育技術を使えば、子どもたちの変化をたくさん見られるようになると思っています。

Q3

勤務校では、イマージョン教育と課題解決型授業(PBL)を導入しているとのことでした。21世紀型教育において、どのようなことを意識して子どもたちと向き合っていますか?

イマージョン教育では、英語の教科だけでなく他教科も英語で学ぶことで、確かな英語力の習得を目指しています。課題解決型学習(PBL)では、プロジェクト活動を通して、思考力を高めていく学習を行っています。
2学期前半までは、子どもたちが「◯◯するとうまくいく」という成功体験を積み重ねられるように、TOSSで学んだ技術を生かして、丁寧に「足場掛け」を行うよう心がけています。
2学期後半からは、子どもたちに任せる場面を増やします。子どもたちはこれまでに学んだことを振り返り、「何をしなければいけないのか」「どんな技術を使ったらよいのか」「どのような手順で進めればよいのか」を悩みながらも、自分たちで学び方を選択して取り組みます。はじめの「足場掛け」がなければ、このような学びは成立しません。
子どもたちに「学び方」を伝えていく。それが、彼らの生きる道につながると考えています。

Q4

TOSSに出会ってよかったことは、何ですか?

TOSSで、教師の腕を磨くための「物差し」を手に入れることができました。
例えば、授業がうまくいかなかったときには、向山洋一先生(TOSS最高顧問)の「授業の原則」を使って、その原因を探ることができます。原因がわかるからこそ、しっかり反省し、次の授業につなげることができます。
「物差し」を使って、自分の指導技術を振り返らなければ、失敗を子どもたちだけのせいにしてしまうかもしれません。これでは、いつまでたっても、僕にも子どもたちにも力はつきません。TOSSと出会って、自分を振り返ることができるようになり、よかったと思っています。

Q5

先生になって、よかったことを教えてください。

先生として過ごせる毎日が、とても楽しいです。 僕が先生を目指したきっかけは、学生の頃、有田和正先生*の授業をビデオで見たことです。そのとき、「賢くなりたい!」と思っているたくさんの子どもの姿を見て、自分もそんな毎日を過ごしたいと思いました。これは僕の原動力です。
新卒1年目は、全くうまくいきませんでした。しかし、勉強をするうちに、うまくいくことが徐々に積み重なってきたと感じています。子どもたちの学び方の変化や、「賢くなれた!」と子どもが実感している様子を見ることができたとき、理想とする授業に少しずつ近づいているかもしれないと思えます。

*有田和正先生(1935〜2014):元筑波大学附属小学校教諭、のちに愛知教育大学教授、東北福祉大学子ども科学部教授