TOSSで学ぶ人たち

INTERVIEW

#03

ずっと、「授業が楽しい!」「勉強ができた!」という
子どもの姿が見たかった。
それを、手に入れられました。

塩谷 直大

塩谷 直大

/ SHIOYA NAOHIRO

北海道

小学校教員

2023年度で教員13年目。小学校2年生担任、教務部、校内ICT推進委員会代表を担う。子どもたちが熱中する授業を目指し続けている。現在は、プログラミング教育や生成AIなどICTを活用した教育を研究中。「TOSS北海道」代表。

Q1

塩谷先生は、校内ICT推進委員の代表として、ICTの効果的な活用方法の 研修等を行っているとお聞きしました。学校の中核として、先生方のサポートをするうえで、どのようなことに心がけていらっしゃいますか?

校内の先生のために、ICT関係のさまざまなスキルを、「すぐ使える」ようにして伝えることを意識しています。
例えば、出張や生徒指導で研修に出られない先生のために、教材の使い方動画を学校のクラウドに上げておいたり、QRコードから見られるようにしたりしています。先生方が「学びたいときに学べる」ようにするためです。おかげで、先生方からも喜ばれました。
このような対面と非同期の学びを組み合わせるのは、TOSSから得た学びですね。自分が20代のころ、TOSSのセミナーは「明日すぐ使える技術がパッケージ化されている」ように思えました。そのまま教室に持っていける形で伝達してもらえるのは、TOSSだけでしたから衝撃的でした。

Q2

ICTを活用した毎日の授業から、
子どもにどのような学びを得てもらいたいですか?

担任の2年生の子どもたちは、GoogleのJamboardで共同編集をしています。最初はうまくできませんでしたが、自由に付箋を動かしたり、友達の意見をその場で参照したりしながら、どんどん自分の考えを深めています。
僕は、2年生からクラウドを使った学びを体験しておくことは大事だと思います。「仕組みはわからないけど、僕が動かした付箋が隣で動いている」などの体験です。
おそらく、この子どもたちは、将来クラウドのある生活が当たり前になる。だから、今からいろいろな経験をして、失敗もたくさんしながら、ICT活用スキルを身につけていってほしいです。

Q3

学校外での、サークル(勉強会)について教えてください。

僕のサークル名は「TOSSファミリー」といいます。妻もTOSSで学ぶ教師で、家族で模擬授業をしたり、指導案を検討したりするサークルを始めました。その後、だんだん多くの先生が入ってくれました。嬉しいことです。
改めて考えると、「先生同士で一緒に学ぶ場」は、とても貴重です。常に大きな学びがあります。
新しい先生が来たときには、「ひとつのやり方が正解ではない。いろいろな方法をお互いが持ち寄りましょう」「子どもの事実を作れるような実践を、お互いに探していきましょう」と話しています。

Q4

サークルで学んで良かったことを教えてください。

「教室での実践」と「サークル」の往復のおかげで、僕は初めて「教師の仕事が楽しい」と思えるようになりました。ずっと、「授業が楽しい!」「勉強ができた!」という子どもの姿が見たかった。それを、手に入れられました。
子どもたちが「できた!」「やった!」と言って飛び跳ねたり、ガッツポーズしたりする瞬間を見られる仕事は少ない。学校という特別な場所だから、できることだと思います。
TOSSで学んだことを教室で試してみたけれど、時にはうまくいかないこともあります。そのときは、サークルで相談すると、フィードバックをもらえて、その原因がわかるようになります。

Q5

そもそもTOSSに出会ったきっかけは何ですか。

大学を卒業してすぐに、4年生の担任になりました。いつも授業がうまくいかず、子どもたちはつまらなそうでした。
あるとき、物語の『ごんぎつね』をどう授業してよいかわからず、本屋さんで『向山型国語教え方教室』という雑誌を見つけました。
ページをめくったら、『ごんぎつね』の発問が載っている。「すごくわかりやすい」と思って、そのまま授業しました。すると、そのときだけ、子ども全員の顔色が変わって、「はい」「はい」「わかった!」「わかった!」となりました。でも、次に僕が余計な発問をすると、全くうまくいかない。すごく不思議でした。
「あの出来事は何だったんだろう」と気になり、TOSSのセミナーに行って学ぶようになりました。

Q6

日々、「教師修業」を続ける原動力は何でしょうか。

TOSSには、全国各地に授業の上手な先生がたくさんいます。特に同じ年代の先生からは、いい刺激をもらって、自分もさらに頑張ろうと思えます。
また、TOSSの指導法や考え方を、僕はずっと残したい。ずっと日本にあってほしい。世界にも広めたい。そう思っています。そうすれば、多くの子どもがもっと幸せになると思います。そのために、自分の力を出し尽くし、向上していきたいです。

Q7

教師になってよかったことは何ですか。

子どもから、たくさんのエネルギーをもらえること。毎日リアルタイムで、子どもの成長や達成感を見られることです。
それから、教師という仕事は、学び続けるから「子どもの前に立てる資格」があると思っています。その学び続けたいと思える仕事に身を置けることです。