TOSSで学ぶ人たち

INTERVIEW

#04

学年を超えて、先生と先生、
子どもと子どもの「つながり」が連鎖。
明るく元気な学校を支えています。

多々野 智子

多々野 智子

/ TATANO TOMOKO

福岡県

小学校校長

2023年度で校長職3年目。2022年、第1回向山洋一教育賞最先端実践賞受賞。TOSSの4つの理念を掲げて、働きがいのある学校づくりに励んでいる。勤務校で「教育技術」の校内研修を行っている。

Q1

多々野先生の学校は、先生向けに「教育技術」の校内研修を行っている
とのことでしたが、なぜ、取り組みをはじめようと思われたのですか。

校長として赴任してから、教育技術を学ぶ時間を校内で取っています。ほんの短い時間です。
私は、初任時に授業や学級経営がうまくいきませんでした。とても困って、教育技術を学んだという経験がありました。
また、教育技術を軸として、若手の先生とベテランの先生のコミュニケーションを密にすることは、指導力向上だけでなく、先生の働きがいを生み、学校の活性化につながると考えたからです。
先生が一生懸命頑張っていると、それは子どもへも波及します。この連鎖は大事です。先生も子どもも少しずつ変わって、生き生きしていきます。

Q2

校内研修では、どのようなことをしているのですか?

褒める技術、黄金の3日間*、音読指導技術など、その時期に必要なテーマを決めて、取り組んでいます。学力向上部の先生が主導となって、ノート指導の研修をしたこともあれば、体育部の先生が企画して、ラジオ体操や水泳指導をしたこともあります。机上でじっと話を聞くタイプの研修ではなく、若手の先生からベテランの先生まで、みんなで経験やアイデアを出し合うような研修を創っています。

4月最初に、「どの子も大切にされなければならない。たった1人の例外もなく。」を掲げ、「教育技術はさまざまである」「多くの技術から、自分の学級に適した方法を選択するのは教師自身である」と伝えています。 若手の先生は指導技術を学び、中堅以上の先生にとっては自分自身をブラッシュアップする機会になっていると思います。

*新年度の最初の三日間のこと。ここで、クラスのしくみをつくることが重要。

Q3

校内研修を通して、先生方にどのような変化がありましたか?

若手で大きく成長された先生がいます。それまでは、子どもを叱って、「言うことをきかせなければいけない」と考えていたようです。研修で「褒める」ことの重要性を学び、子どもをたくさん褒めるようになりました。すると、先生と子どもとの関係が良くなっただけでなく、子ども同士が認め合うような学級になっていったのです。初任時は、「教師の仕事を続けたいと思わなかった」と言っていましたが、今では積極的にご自身でも学ばれて、子どもたちの成長を嬉しそうに報告してくれます。

また、先生方は、学年の枠を超えて声を掛け合い、なんでも協力的に行っています。校長との個人面談で、新任の先生に「どんな先生になりたい?」と質問すると、3、4年目の先生を見て、「○○先生のように学級経営がうまくなりたい」「○○先生のように授業がうまくなりたい」と言います。「憧れの連鎖」が起こっている。とても嬉しいことです。
この先生同士の関係を見ているからか、子ども同士も学年を超えて関わり合い、仲が良いです。

Q4

先生方の「やりがい」を大切にするために、心がけていることはありますか?

勤務校の先生方には、「やりたいことをするのが、いちばんです」と言っています。そうすると、先生方も安心して、いろいろ取り組んでくださいます。いいアイデアが次々と出てきます。やはり1人1人のやりがいを大切にしなければいけないと思います。
あとは、「子どもを褒めてください」と先生方に言っているので、私も、先生や子どもを褒めるようにしています。

Q5

TOSSに出会って、よかったことは何ですか?

新卒教員2年目のときに向山洋一先生(TOSS最高顧問)の本に出会い、そこからさまざまな実践を学んできました。TOSSに出会っていなかったら、毎日がこんなに楽しくなかったかもしれません。どんなことが起こっても、前向きにとらえることができるようになりました。だから、楽しい教師人生を送ることができているのだと思います。
特にTOSSのセミナーに参加したあとは、知識だけでなくエネルギーももらって、「頑張ろう」という気になります。

Q6

教師になってよかったことは何ですか?

やはり、「子どもたちの成長を近くで見られること」です。私たちが、子どもから元気をもらっていると思います。育むつもりが、こちらが生きる力をもらっている。だから、学校の先生方も、みんな生き生きしています。